
犬猫の抗がん剤治療、副作用はどれくらい起こる?実例紹介と解説
犬猫の抗がん剤治療、副作用はどれくらい起こる?実例紹介と解説
愛犬や愛猫が「がん」と診断されると、多くの飼い主さんが抗がん剤治療を検討することになります。しかし気になるのが「副作用」。実際にどのくらいの確率で起こるのでしょうか?本記事では、獣医師向け資料※1を参考に、副作用の種類や発生頻度、そして実際にあった症例をわかりやすく解説します。
本記事作成の参照元資料:https://www.samec.jp/veterinarians/upload-docs/201822485046.pdf

抗がん剤治療でよく見られる副作用と発生確率
1. 骨髄抑制(好中球・血小板の減少)
- 特徴:好中球が減ることで感染に弱くなり、発熱や重篤な感染症につながることもある。血小板減少では出血傾向となる。
- 発生率:資料によると、20〜30%程度の症例で一過性の好中球・血小板減少が見られるとされます
- 注意点:投与から4〜7日目が最もリスクが高いと報告されています
2. 消化器症状(嘔吐・下痢・食欲不振)
- 特徴:腸の粘膜細胞もダメージを受けるため、吐き気や下痢が出やすい
- 発生率:10〜20%前後の犬猫で見られると報告。重度になるのは少数
- 対応:制吐剤や整腸剤で多くは改善可能
3. 出血性膀胱炎(シクロフォスファミドに特徴的)
- 特徴:代謝物が膀胱を刺激して血尿や頻尿を起こす
- 発生率:数%程度とまれですが、犬では注意が必要
- 予防策:十分な水分補給や薬剤の調整でリスクを下げられる
4. 臓器毒性(心臓・肝臓・腎臓など)
- ドキソルビシン:累積投与で心筋障害のリスク
- ロムスチン(CCNU):肝毒性に注意
- カルボプラチン:腎排泄型で腎機能に影響する可能性
- 発生率:臓器毒性はまれだが、出た場合は重篤化しやすいため定期検査が必須
実際の症例紹介:抗がん剤副作用で体温上昇した犬の事例
ここでは、推定直腸温を高精度で計測可能な首輪型デバイス「PetVoice」を活用した事例をご紹介します(実際のPetVoice計測データをもとに作成、個人情報は含みません)。
🏥 症例の詳細
- 背景:腫瘍と診断された小型犬。埼玉県内の動物病院にて抗がん剤治療を開始
- 経過:投与後7日目、PetVoices推定直腸温39.3℃を検知。飼い主による直腸温実測値計測でも39.1℃を記録。通常時より1℃以上高く病院を受診
- 診断:血液検査で好中球の大幅減少が判明し、発熱性好中球減少症(FN)と診断
- 対応:即日入院し治療開始。早期発見により早期に回復し1日入院後退院。
- ポイント:在宅での体温モニタリングが、副作用の"早期発見"に役立ったケース
飼い主が知っておきたいこと
1. 副作用は必ずしも重篤ではない
ほとんどは一過性で、早期発見と早期の支持療法(点滴・制吐剤など)でコントロール可能です。
2. 発生率の目安を理解する
- 骨髄抑制:20〜30%程度
- 消化器症状:10〜20%程度
- 出血性膀胱炎:数%程度(特定薬剤)
(出典:日本獣医がん学会資料など samec.jp)
3. 早期発見が命を救う
体温上昇、食欲不振、元気消失といったサインを見逃さず、すぐに獣医師へ相談することが大切です。
PetVoiceで抗がん剤治療中の「体調の見える化」
首輪型デバイス PetVoice は、体温・心拍数・活動量などを自動計測。抗がん剤治療中の副作用の早期発見をサポートします。
副作用の早期発見
発熱や活動量低下を自動検知。骨髄抑制による感染症や消化器症状のサインを見逃しません。
治療効果の客観的評価
体調データのトレンドから、抗がん剤の効果や副作用の程度を獣医師と共有できます。
24時間体制での見守り
夜間や外出中でも、異常があればアラートでお知らせ。安心して治療に専念できます。
※医療判断は必ず獣医師の診断に基づいて行ってください。
よくある質問(FAQ)
抗がん剤治療で必ず副作用は出るのですか?
全ての動物に副作用が出るわけではありません。多くは軽度で一時的なものです。個体差もあり、全く副作用が出ない場合もあります。
副作用が出た場合の治療費はどのくらいかかりますか?
軽度の消化器症状であれば数千円程度の支持療法で済みますが、入院が必要な骨髄抑制の場合は数万円〜十万円程度かかることもあります。
PetVoiceのデータは獣医師に共有できますか?
はい。アプリからデータをエクスポートして獣医師と共有することで、より的確な治療方針の決定に役立てることができます。
副作用が怖くて抗がん剤治療を迷っています
副作用のリスクと治療効果を総合的に判断することが重要です。獣医師とよく相談し、愛犬・愛猫にとって最善の選択を検討しましょう。
まとめ
犬猫の抗がん剤治療では、副作用のリスクは避けられませんが、その発生率は多くが軽度〜中等度にとどまります。重篤化するケースはごく一部で、早期発見と適切な対応で乗り越えられることが多いとされています。
飼い主が副作用の種類と起こりやすさを知っておくことで、安心して治療に向き合うことができます。