
新機能発表会 稲野辺先生
PetVoiceでは、2024年11月11日に新機能発表会を行いました。新機能発表会では、新機能のご紹介だけでなく、今後注力していく分野についても発表しました。
この度、PetVoiceの目玉機能の1つである直腸温推定機能について、推定精度が大幅に改善し平均誤差±0.5度を実現しました。さらに、安静時の推定直腸温という新しい項目も計測可能になりました。この記事では、犬猫の体温測定を日常的に行うことの重要性について稲野辺悠先生よりお話いただいた内容をご紹介します。
「安静時の推定直腸温」とは

安静時の推定直腸温は活動による一時的な体温上昇を除いた値を計測したもので、体調悪化による高熱に気づきやすくなります。今回の直腸温推定機能の精度改善にあたり、首周りの温度と直腸温の相関データの追加収集を行い補正アルゴリズムの見直しを実施しました。さらに、システム内部で補正計算を行う頻度も10倍以上に増やすことで大幅な精度改善を実現しています。
稲野辺悠先生のご紹介

稲野辺先生は港区動物救急医療センター芝アニマルクリニックで院長を務めていらっしゃいます。動物病院での診察の様子などをTikTok・YouTube・Instagramで発信し、現在SNSの総フォロワー数は50万人以上で、多くの飼い主様にペットの健康情報を発信されています。
発表内容
犬猫の体温測定
本日私からは犬猫の体温管理の重要性についてお話しさせていただきます。
皆さんは、朝起きて仕事に行く前に身体がだるいなと感じた時、多くの方がまず最初に体温計で体温をチェックするのではないでしょうか?体温というのは人間と同様、ペットにとってもすごく大事です。

私は24時間受付の救急病院で勤務をしています。もちろん体調が何かしら悪くないと患者さんは救急病院にはいらっしゃいません。うちの動物病院に患者さんが来た場合、まずは体温を計測します。体温に異変があるかどうかはその後の診察方針や検査内容を決める上で非常に重要な指標になるからです。
人間では脇に体温計を挟んで測定することである程度高い精度で体温計測ができますが、犬猫の場合はこの方法では体温を正確に測ることはできません。犬猫の体温を正確に計測したい場合は、お尻の穴から体温計を入れて直腸の温度を計測する必要があります。しかし、この方法は犬猫にとって非常にストレスだと思いますし、実際暴れてしまう子も多くいます。特に猫はお尻から体温を測られることが苦手な子が多いです。
自宅での体温測定

私たち獣医師と同様に犬猫のお尻の穴から体温計を入れて直腸の温度を計測するというのは飼い主さんにはなかなか難しく、ご自宅で体温チェックをしている方はほとんどいらっしゃらないと思います。加えて、我々人間は「なんか熱っぽいな」と自分で気づくことができますが、飼い主様が人間とは平熱が異なる犬猫の体温について「なんとなく体温が高そうだな」と気づいて体温を測る、というのは難しいと思います。
この課題を解決するためには、犬猫の体温をお尻から測るというストレスのかかる方法ではなく、常時犬猫の体温を計測してくれて異変があった時には代わりに教えてくれるツールが必要だと考えていました。
PetVoiceを活用した体温測定

この観点から、首輪を装着しただけで推定の直腸温を測ってくれるPetVoiceは非常に有用だと考えています。これまでは推定精度に課題があると聞いていましたが、改良を重ねて非常に高い推定精度を実現されていることは素晴らしいことだと思っています。
また、本件について日本獣医学会での発表も行なっていると聞いていますので、非常に信頼性の高いデータだと考えています。犬猫でもご家庭での体温管理が一般化されれば、より体調の異変に気付きやすくなり、犬猫の健康維持、ひいては長生きにつながっていきます。
ぜひ飼い主の皆様にはPetVoiceというツールがあることをご認識いただいた上で、ご自身の愛犬愛猫の体温管理についてこの機会に一度思いを巡らせてみてください。