猫のアレルギー性皮膚炎 原因と症状について

アレルギー性皮膚疾患は、猫における皮膚病例の約30%を占めています。猫のアレルギーとはどういう病気なのでしょうか? 犬のアレルギーとはどのように違うのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。

獣医師にLINEで相談する

アレルギーの仕組み

猫には、体外から入ってきた異物を体内から排除しようとする「免疫」という働きが備わっています。ウイルスや細菌など、猫にとって有害となるものが入ってきたときに、免疫は無くてはならない重要な身体の反応です。しかし、その免疫がある特定の物質に対して強く反応してしまったり、異常な反応を示してしまう場合があります。その結果、身体に症状が出てしまうことを「アレルギー反応」と言います。また、アレルギーを引き起こす原因となる物質のことを「アレルゲン」と呼びます。猫のアレルギーは、人のアレルギーと似ている部分もあることがだんだん分かってきました。しかし、犬と比べるとまだまだ不明な部分が多くあります。また、犬に比べて症状が多様であるため、なかなか診断に至れないという事情もあります。

猫アレルギー性皮膚炎の3つの原因

猫のアレルギーが原因となる皮膚炎には大きく3つの分類があります。

  • ノミアレルギー
  • 食物アレルギー
  • 猫アトピー性皮膚症候群(非ノミ/非食物誘発性過敏性皮膚炎、以下アトピー性皮膚炎)

現在のガイドラインではこの3つに猫喘息を加えたものを猫アトピー症候群としています。
ノミアレルギーと食物アレルギーは名前の通りノミによる吸血、食事によってそれぞれ引き起こされるアレルギーです。
以下アトピー性皮膚炎は主にハウスダストや花粉など環境中のアレルゲンによって引き起こされると考えられています。しかし、これらのアレルゲンの関与を証明することが難しいため、ノミアレルギーや食物アレルギーであることが否定されればアトピー性皮膚炎であると診断されます。

猫アレルギー性皮膚炎の症状

アレルギーが原因で起こる皮膚炎で、共通する症状は以下の4つがあります。

    • 粟粒性皮膚炎

皮膚にできる赤みのある小さいブツブツ

    • 自傷性脱毛

皮膚を頻繁に掻きむしる、舐める事による脱毛。毛玉を頻繁に吐いたり、糞に毛が過剰に混じったりすることもあります。

    • 顔・首まわり・頭を特に痒がる
    • 好酸球性肉芽腫群

上唇の潰瘍、下唇・四肢のできもの、腹部・内股の左右対称性のびらん

これらは猫のアレルギー性皮膚炎に共通した症状であり、注意が必要です。
猫は健康でもグルーミングをする動物ですが、脱毛するほど舐める、毛玉を吐く回数が増える、糞に毛が過剰に混じっているなどの異変があったらアレルギーが関与している可能性があります。また、唇や口の中などは、潰瘍や結節ができていても猫は常に痒みを感じるわけではありません。食事に影響がない場合も多く、気づくのが難しいため、こまめにチェックしてあげましょう。

原因別の症状

ノミアレルギー

ノミアレルギーは、ノミの唾液がアレルゲンとなって引き起こされるアレルギーです。
ノミアレルギーでは、少数の寄生であっても痒みを伴います。猫はグルーミング(舐めること)によって痒みを解消しようとしますが、グルーミングは痒みが無くても見られる日常的な行動のために、なかなか気づきにくいサインの一つかもしれません。猫の性格によっては隠れて何時間もグルーミングをしていることがあります。
疑いやすい症状としては、皮膚に赤みのあるブツブツができるタイプの皮膚炎や、脱毛が挙げられます。他にも紅斑や、かさぶたが見られることもあります。また、毛と毛の間に茶色の粉のようなものが見られた場合、ノミの糞便の可能性があります。

食物アレルギー

食物アレルギーは、食べ物に含まれるある特定の成分に対して、免疫反応が起きてしまうことで起こるアレルギーです。原因としては、多いものから順に牛肉、魚、鶏肉と報告されていますが、どの食物も原因となり得ます。
症状は痒みが主です。食べ物が原因となって発症するため、季節性が無い痒みであることが一つの指標となります。特に頭頚部を掻くことが多く、その他にも外傷性の脱毛がみられることもあります。嘔吐や下痢等の消化器症状が出ることもありますが、脱毛などに比べると発症する可能性は低いです。

アトピー性皮膚炎

猫のアトピー性皮膚炎の原因として、遺伝によるものや免疫によるものが疑われています。また、原因は一つではなく、複雑であると考えられています。
常に痒みに襲われるため、掻いたことによる外傷性の脱毛などが見られます。顔面や頸部に痒みが出ることもあり、皮膚に赤みのあるブツブツができるタイプの皮膚炎や、外耳炎などを発症することもあります。
(実は、猫のアトピー性皮膚炎は未だにはっきりとしたことがわかっていない病気の一つです。症状や効く治療法が似ているため、アトピー性皮膚炎という言葉が使われるケースもありますが、人や犬のアトピー性皮膚炎に相当する疾患かどうかの評価は未だに不十分とされています。今回は猫のアトピー性皮膚炎を、遺伝的素因を持つ炎症性で掻痒性のアレルギー性皮膚疾患であり、上記に挙げる特徴的な臨床所見を伴うものと定義します。)
痒くないアレルギーもある?
猫アレルギー性皮膚炎は症状が実に多様であり、かゆみを伴うものもあれば、そこまで痒くないにも関わらず皮膚に病変が認められる場合もあり、飼い主さんにとって気づきづらいことも多いようです。
皮膚以外にも唇や口腔内などをこまめにチェックしてあげるようにしましょう。

猫アレルギー性皮膚炎の治療法

原因別の治療法

ノミアレルギー

駆虫薬によるノミの駆虫を行います。痒みがひどい場合は、並行して抗アレルギー薬やステロイドなどの抗炎症剤を内服、または外用することで痒みを緩和します。

食物アレルギー

原因となる食物を避けることが基本的な治療となります。
症状が出ていたときに食べていたフードから考えられる原因を排除した除去食を2ヶ月間与えて、皮膚の症状が改善するかを確認します。これを除去食試験といいます。改善が認められた場合、以前のフードを少しずつ与えて、症状が再び現れるか確認します。これを食物負荷試験といいます。原因がわかったら、症状が改善した食事を今後も与えていくことになります。アレルギーの原因はタンパク質であることが多いため、除去食試験では、蛋白質をできるだけ小さくしたフードや、新奇タンパク質(なまずやカンガルー肉など少し珍しい原料を用いたフード)が用いられたフードから始める場合が多いです。
食物アレルギーでも強いかゆみが認められることがあるため、除去食試験と並行して痒みを抑える薬を投与したり、膿皮症やマラセチア性皮膚炎を併発している場合は抗菌薬、抗真菌薬などを用いて治療を行います。

アトピー性皮膚炎

原因であるアレルゲン(ハウスダストや花粉)を完全に排除することは困難であるため、かゆみなどの猫にとってつらい症状を緩和しながら一生付き合っていくことを前提に治療を進めます。
具体的にはステロイドなどの抗炎症薬や、免疫抑制剤、抗アレルギー薬を投与します。

まとめ

アレルギー皮膚疾患は猫にとってもとてもつらい病気です。
様々な原因によって引き起こされるアレルギーですが、症状は似ている部分も多いです。そのため、原因をはっきりさせて適切な治療を施すことが一番の方法です。
「普段よりグルーミングが増えた」「毛が薄くなった」「赤いブツブツができている」など、どのようなサインを出すのかを把握しておくことで、つらい時期をできるだけ短くしてあげましょう。

アレルギーは、残念ながら完治させる治療法はありません。しかし、適切な治療を行うことで症状を最小限に抑えることができるので、不安な方は動物病院で診てもらいましょう。

獣医師にLINEで相談する

  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。