猫の中耳炎の症状・原因と治療法

猫の中耳炎は、耳の中で炎症がおこり痛みや不快感を生じる病気です。
軽症であれば内服薬での治療で済みますが、症状が進行すると手術が必要になることもあります。
ここでは猫の中耳炎の症状や原因、治療法などについて解説します。

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猫の中耳炎とは

猫の中耳炎とは、耳の鼓膜から奥の「中耳」という部位に炎症がおこる病気です。
耳は外側から順に外耳・中耳・内耳に分かれており、中耳は鼓膜から伝わってきた振動を内耳に伝える役割をもちます。
命に関わる病気ではなく、軽症であれば自然治癒する場合もありますが、放置していると別の病気を引き起こしたり、神経障害が発生したりする恐れがあります。
さらに、中耳炎の症状がみられる場合、脳腫瘍など別の病気を併発している可能性もあるため、異変に気づいたら動物病院へ連れていきましょう。

猫の中耳炎の症状

猫が中耳炎になると以下のような症状があらわれます。

  • 元気がなくなる
  • 頭を振る
  • 耳をかく
  • 耳や頭を触られるのを嫌がる
  • 口を開けるのを嫌がる
  • 顔が傾く(斜頚)
  • よだれが出る
  • 瞬きができない
  • 瞬膜(眼球を保護するための薄い膜)が戻らなくなる
  • 耳垂れ(膿など)が出る

また、中耳炎が進行し内耳にまで炎症が広がっている場合は

  • ふらつく、倒れる
  • 回転するように歩く
  • 嘔吐
  • 食欲不振

などの症状がみられることもあります。

猫の中耳炎の原因

猫の中耳炎のおもな原因は外耳炎の悪化や細菌感染です。

外耳炎の悪化や異物混入によって鼓膜に穴が開くと、中耳に炎症や感染が広がるため、中耳炎を発症します。
また、鼻と耳は耳管という管でつながっているため、鼻炎や咽頭炎の細菌が中耳に侵入・感染し中耳炎が引き起こされることもあります。

かかりやすい品種は?

アメリカンカールやスコティッシュフォールドなど、折れ耳の猫は耳垢が溜まりやすく通気性が悪いため、外耳炎になりやすいです。また、外耳炎を繰り返している猫や免疫力が低下している猫はかかりやすい傾向にあります。

猫の中耳炎の治療法

中耳炎の治療は原因にあわせて行います。
原因が外耳炎の場合は外耳炎の治療を行います。
細菌感染の場合は抗生物質を、真菌感染の場合は抗真菌薬を投与し、炎症をおさえるために抗炎症薬を使うこともあります。
これらの治療法でなかなか改善しない場合やポリープができている場合は、手術が必要です。

猫の中耳炎予防方法

中耳炎の予防には日頃からしっかり観察しておくことが大切です。週に1回は耳をチェックする習慣をつけましょう。
以下のような外耳炎の症状にすばやく気づいて治療することも中耳炎の予防となります。

  • 耳をかゆがっていないか
  • 耳のにおいは強くないか
  • 耳垢の量は増えていないか
  • 湿疹ができたり赤く腫れたりしていないか

とくに、折れ耳のスコティッシュ・フォールドは耳の中が蒸れやすく、異変にも気づきにくいため注意しましょう。

間違った耳掃除は中耳炎の原因にも

猫の耳は自浄作用により耳垢や汚れが自然に外へ出ていくため、こまめな掃除は必要ありません。汚れに気づいたときのみ行うのが適切です。
綿棒を使うと耳の中を傷つけて中耳炎の原因となるため、イヤークリーナーをガーゼやコットンにつけて見える部分だけをやさしく拭きとるだけにしましょう。

まとめ

猫の中耳炎は、耳の鼓膜から奥にある中耳という部位に炎症がおこる病気で、外耳炎の悪化や細菌感染などが原因となります。
耳をかゆがったり、顔が傾いたりしていたら中耳炎のサインかもしれません。ひどくなると歩き方が不自然になったり嘔吐したりなどの症状もあらわれます。
症状が進行すると治療が難しくなるため、早期発見・早期治療ができるように日頃から観察しておくことが大切です。

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  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。