犬の下痢の原因は?うんちを見てわかること

今日から愛犬のうんちをよく観察しましょう!犬は身体の大きさに対して腸管の長さが短く、下痢を起こしやすい動物です。下痢の原因は様々で、下痢便の形状や症状から得られる情報が多くあります。動物病院に連れていく前にはあらかじめ確認しておきましょう。
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犬がよく下痢するのはなんで?

口から入ってきた食べ物は食道→胃→小腸→大腸→肛門を通ってうんちとして排泄されます。この食べ物が通る臓器が消化管です。消化管が長い動物であれば、食べ物は長い時間をかけて消化吸収され、大腸に到達する頃には体に必要な栄養素と水分がほとんど吸収された状態です。

消化管が短いと消化に必要な時間を確保することができず、未消化な状態でうんちとして排泄されてしまいます。この未消化な状態のうんちが下痢の正体です。

犬は元々腸管が短い動物とされていますが、犬種によっても腸管の長さは異なり、特に大型犬では身体の大きさに比べた腸の長さが短いので、下痢をしやすいと言われています。

下痢の原因は大きく2種類

下痢は小腸性下痢と大腸性下痢の大きく2つで分けられます。その名の通り小腸に原因がある場合と大腸に原因がある場合です。うんちの状態や症状からどちらに分類されるのか、おおよそ把握することができます。

こんな下痢は小腸性の下痢

胃を通過した食べ物の栄養素は8割が小腸で吸収されます。そのため、小腸に原因がある場合は栄養素が十分に吸収されず、うんちの中に未消化物(フードの残り)がたくさんあったり、大量の下痢が出る場合は小腸性の下痢であることが多いです。もうひとつ特徴的なものとして、真っ黒な下痢は小腸性である可能性が高いです。これは小腸で起きた出血が消化管を通る間に吸収されて、色が変化するためです。

こんな下痢は大腸性の下痢

大腸はうんちを貯蔵するための臓器です。そのため下痢の原因が大腸にある場合、うんちを溜め込むことができずに1日あたりの下痢の回数が多くなったり、うんちの一回の量も少なくなることが多いです。何度も何度もトイレに行く様子が見られる場合、またはトイレに行ってもうんちが出てこないような症状(しぶり)も大腸性の下痢の可能性が高いです。

上記のような頻回の下痢に加えて、うんちに血が混じることもあります。小腸性下痢の黒いうんちとは異なり、赤い鮮血が見られるのが大腸性下痢の特徴です。

他にもうんちからわかること

下痢をする原因は様々です。人の場合、下痢をしたら「そういえば昨日何食べたっけ?」と言ったように食べたものを疑うと思います。しかしながら、毎日同じメニューのフードを食べているペットにとっては、うんちの不調は身体の不調に他なりません。そういう意味でも手作り食やおやつではなく、ペットフードを食べるメリットがあるということですね。

うんちだけでは分からないことも

もちろん下痢の原因はうんちを見ただけで完全にわかるわけではありません。うんちの中にいる寄生虫は顕微鏡でしか検出できないものもいます。膵臓や肝臓などの異常になると血液検査や画像検査でしか分かりません。いつもの下痢だからと油断することはせず、様子がおかしいなと思ったらうんちを持って動物病院で診察してもらうようにしましょう。

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まとめ

以上のように、犬の下痢には小腸性、大腸性の2種類あって、それぞれうんちの特徴と症状などから、どこに原因があるのか予測することができます。動物病院でもどんなうんちなのか確認する必要があるので、下痢をした時にはうんちを病院に持っていくと診察がスムーズになるかと思います。

  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。

  • 監修者

    三橋和人
    株式会社PetVoice 獣医師

    麻布大学獣医学部にて獣医師資格を取得。獣医師として臨床を経験後、動物病院経由で販売される療法食最大シェアを誇るロイヤルカナンにてKOLマーケティングを担当。