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犬の腎臓病(慢性腎不全):症状のサイン、ステージ分類と食事療法

愛犬の慢性腎不全 | 早期発見と食事療法で長生きを目指す完全ガイド

愛犬が長生きする時代、高齢になると避けて通れない病気の一つが慢性腎不全(CKD)です。腎臓病は「静かなる病気」とも呼ばれ、初期には症状がほとんど現れず、気づいた時にはかなり進行していることが多いのが特徴です。

しかし、早期発見と適切な食事療法を組み合わせることで、病気の進行を遅らせ、愛犬の健康寿命を延ばすことが十分に可能です。

本記事では、犬の慢性腎不全の早期サインの見分け方、国際的なステージ分類(IRIS)の理解、そして治療の要となる食事療法と、それに伴う治療費について詳しく解説します。

1. はじめに:愛犬の「慢性腎不全」—長寿を迎える上で避けて通れない病気

高齢犬と飼い主のケアのイラスト

慢性腎不全は、腎臓の機能が数ヶ月から数年にわたり、徐々に不可逆的に低下していく病気です。犬では10歳以上の高齢犬に非常に多く見られ、その主な原因は加齢に伴う腎臓組織の機能低下と線維化です。

腎臓は一度機能が失われると基本的に再生しないため、いかに残された腎機能を守り、病気の進行を遅らせるかが治療の鍵となります。飼い主さんの日々の観察と、病気の進行度に応じた適切なケアが、愛犬の生活の質(QOL)を大きく左右します。

2. 犬の腎臓病(慢性腎不全)とは?—静かに進行する病気のメカニズム

犬の腎臓の機能を示す医学的イラスト

2-1. 腎臓の重要な役割:老廃物のろ過と水分・血圧の調整

腎臓は、体内の環境を一定に保つための「司令塔」のような役割を果たしています。その主な機能は以下の通りです。

  • 老廃物のろ過・排出: 血液中の尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cre)といった老廃物をろ過し、尿として体外に排出します。
  • 水分と電解質の調整: 体内の水分量、ナトリウム、カリウムなどのバランスを維持します。
  • ホルモンの分泌: 血圧を調整するホルモン(レニンなど)や、赤血球の生成を促すホルモン(エリスロポエチン)を分泌します。

2-2. 慢性腎不全が不可逆的に進行する理由

腎臓の機能単位であるネフロンは、犬では一度壊れると基本的に再生しません。腎臓が正常に機能しているのは、全体のネフロンのうち約3分の1(30%程度)があれば十分な働きを維持できるためです。

慢性腎不全が進行し、残されたネフロンが減少しても、残りの健康なネフロンが過剰に働くことで代償し、症状が表面化しにくい期間が長く続きます。しかし、この過剰な働き自体が、残りのネフロンにも負担をかけ、さらなる機能低下を招くという悪循環に陥り、病気が不可逆的に進行していきます。

3. 【早期発見がカギ】犬の慢性腎不全の症状とサイン

慢性腎不全の症状を示す犬のイラスト

腎臓の機能が75%以上失われるまで、多くの場合、症状は現れません。そのため、以下の初期サインを見逃さず、定期的な健康診断で早期の変化を捉えることが重要です。

3-1. 初期のサイン: 多飲多尿(水をたくさん飲む、おしっこの量が増える)

腎臓の初期の異常で最も早く現れるのが、尿を濃縮する能力の低下です。

  • 多尿: 腎臓が水分を再吸収できなくなるため、おしっこの量が増え、色が薄くなります。
  • 多飲: 体から失われた水分を補おうとして、犬が異常なほど水を飲むようになります。

飼い主さんは、「最近、水を飲む量が増えたな」「夜間のおしっこが増えたな」といった変化に最も早く気づくことができます。

3-2. 進行期のサイン: 食欲不振、体重減少、嘔吐・口臭(尿毒症)

腎機能の低下がさらに進むと、老廃物(尿毒素)が体内に蓄積する尿毒症となり、全身に様々な症状が現れます。

  • 食欲不振・体重減少: 吐き気や体調不良から食欲がなくなり、それに伴って体重が減少します。
  • 嘔吐・下痢: 胃腸の粘膜が老廃物の刺激で炎症を起こし、頻繁な嘔吐や下痢が見られます。
  • 口臭(アンモニア臭): 尿毒素の一つである尿素が分解されることで、口からツンとしたアンモニアのような臭いがします。
  • 貧血: 腎臓が造血ホルモン(エリスロポエチン)を作れなくなることで、貧血が進行します。

3-3. 飼い主さんが見逃しやすいサイン:脱水、毛艶の悪化

  • 脱水傾向: 尿で大量の水分を排出するため、体は常に脱水状態になりがちです。皮膚の弾力(ツルゴール)がなくなり、歯茎が乾いているといったサインが見られます。
  • 毛艶の悪化: 体調不良や脱水、栄養不良が原因で、被毛がパサつき、毛艶が悪くなります。

4. 治療の道筋を理解する:犬の腎臓病「IRISステージ」とは?

腎臓病のステージ進行を示すイラスト

犬の慢性腎不全の診断と治療方針を定めるために、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)が定めたIRISステージ分類が世界的に用いられています。これは、血液中のクレアチニン(Cre)やSDMAの濃度に基づいて、腎臓の機能を4つのステージに分類するものです。

IRISステージ 腎機能の状態 特徴と治療方針
ステージ1 機能がわずかに低下 症状はなし。診断は難しいが、定期的な尿検査、血液検査、血圧検査で早期の変化を追跡。
ステージ2 軽度な腎不全(3分の1程度が機能) 多飲多尿などの症状が表面化し始める。食事療法の開始を検討する重要な時期。
ステージ3 中等度~重度の腎不全 尿毒症症状が現れることが多い。輸液療法(皮下点滴)や貧血の治療、血圧コントロールの薬物治療を開始。
ステージ4 末期腎不全(ほとんど機能していない) 重篤な尿毒症。集中治療や緩和ケアが中心となる段階。

ステージ分類と血圧や尿タンパク質などの指標を組み合わせ、愛犬の状況に応じたオーダーメイドの治療計画が立てられます。

5. 慢性腎不全治療の柱(1):病気の進行を遅らせる「食事療法」

腎臓病用の療法食のイラスト

腎臓病の進行を遅らせる上で、食事療法は薬物療法以上に重要であり、治療の根幹をなします。

5-1. 低タンパク・低リン食の重要性: なぜ制限が必要なのか

腎臓病用の療法食には、主に「タンパク質」と「リン」が制限されています。

  • リンの制限:

    腎臓機能が低下すると、体内のリンが適切に排出されず高くなります(高リン血症)。高リン血症は腎臓のさらなる線維化(機能低下)を促進するため、食事でリンの摂取量を制限することが最も重要です。

  • タンパク質の制限:

    タンパク質が体内で代謝される際に発生する老廃物(尿素窒素など)は、腎臓の負担となります。そのため、老廃物の発生を抑えるために、タンパク質を制限し、かつ消化性の高い良質なタンパク質を与えます。

    ※早期腎臓病においては過剰なタンパク質制限による弊害もあるため、必ず獣医師と相談の上で食事選択を行うこと。

5-2. 腎臓病用の療法食の種類と選び方

市販されている腎臓病用の療法食には、ドライフード、ウェットフード、腎臓ケア用のおやつなど様々な種類があります。

  • ウェットフードの活用: 腎臓病の犬は脱水傾向にあるため、ウェットフードや水でふやかしたフードを与えて、食事からの水分補給を促すことが推奨されます。
  • カロリーと嗜好性: 腎臓病の犬は食欲不振になりがちです。食事が摂れなくなると体力が落ち、病気が悪化するため、カロリー密度が高く、愛犬が喜んで食べる嗜好性の高いフードを選ぶことが非常に大切です。

5-3. 食事を嫌がる愛犬への工夫(食欲維持のポイント)

療法食は嗜好性が低いことが多いため、食事を続けるための工夫が必要です。

  • 温める: フードを電子レンジで少し温めることで、香りが立ち、食欲を刺激できます。
  • トッピング: 獣医師が許可した低リン・低タンパクのトッピング(例:少量のかぼちゃ、ササミのゆで汁など)を混ぜて風味をつけます。
  • 強制給餌の検討: 食欲が全くない場合は、医師と相談の上、シリンジやチューブによる強制給餌も生命維持のために検討されます。

6. 慢性腎不全治療の柱(2):その他の治療と管理

腎臓病の治療のイラスト

食事療法と並行して、愛犬の腎機能の状態に合わせて以下の治療が行われます。

6-1. 輸液療法(皮下点滴):脱水と老廃物排出のサポート

腎不全が進行し、飲水量だけでは脱水が補えない場合、自宅または通院で皮下点滴(輸液療法)を行います。

  • 脱水の改善: 体内に水分を補給し、脱水状態を改善します。
  • 老廃物の希釈: 尿量を増やし、体内に溜まった老廃物を尿として排出しやすくします。

※定期的な点滴を開始した場合は、呼吸数の変化など、点滴による副作用(肺水腫や胸水など)に注意する必要があります。

6-2. 投薬による血圧・貧血・リン値のコントロール

  • 降圧剤: 腎臓病が進行すると血圧が上がりやすくなります。高血圧は腎臓へのダメージを加速させるため、降圧剤で血圧を適切にコントロールします。
  • リン吸着剤: 食事療法だけではリン値が下がらない場合、食事に混ぜて与えるリン吸着剤を使用し、腸からのリンの吸収を抑えます。
  • 貧血の治療: 重度の貧血がある場合は、造血ホルモン製剤(エリスロポエチン)の注射が必要になることもあります。

7. 腎臓病の予防と治療費について

予防と治療費のイラスト

7-1. 腎臓病を完全に「予防」することは可能か?—定期健診の重要性

加齢による腎機能の低下を完全に止めることはできませんが、生活習慣と早期の介入で発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることは可能です。

  • 適切な食事: 無闇な高タンパク食を避け、適切な水分摂取を促します。
  • 定期的な健康診断: 特に7歳を超えたら、半年に一度の血液検査で腎臓の指標(BUN, Cre, SDMA)をチェックし、尿検査で尿比重やタンパク質の漏出を確認することが、最大の「予防策」となります。

7-2. 慢性腎不全の治療にかかる費用と保険の活用

慢性腎不全の治療は、ステージが進行するにつれて費用が高くなる傾向があります。

ステージ 治療内容 月額費用目安
初期~中期
(ステージ2~3)
療法食、定期的な血液・尿検査、投薬(降圧剤、リン吸着剤など) 数千円~数万円程度
後期
(ステージ3~4)
皮下点滴セット、高価な注射薬(造血ホルモンなど)、頻繁な検査や入院 数万円~数十万円

慢性疾患であるため、治療は生涯続きます。ペット保険に加入している場合は、治療費の自己負担を軽減できますが、保険の補償内容(慢性疾患に対する補償割合や上限額)を事前に確認しておくことが重要です。

8. まとめ:愛犬の生活の質を維持するために

PetVoiceスマートカラーによる健康モニタリングのイラスト

犬の慢性腎不全は深刻な病気ですが、悲観的になる必要はありません。

「水をよく飲む」「おしっこの量が多い」という初期のサインを早期に捉え、低リン・低タンパクの療法食を適切に開始することが、愛犬の残された腎機能を守る最大の希望です。

愛犬のステージを理解し、獣医師と密に連携しながら、食事、点滴、投薬のバランスを調整することで、腎臓病と上手に付き合い、愛犬の生活の質を長く維持していきましょう。

ただ、何より重要なのは日々の小さな変化に気づいてあげることです。特に、定期的な点滴を開始した場合は、肺水腫や胸水の発生にも注意する必要があります。日頃から呼吸数の変化を観察する習慣をつけましょう。

「最近、夜間に咳が増えた気がする…」

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  • 執筆者

    PetVoiceBlog編集部

    PetVoice編集部は獣医学や動物行動学を学んだスタッフが犬・猫の健康に関する情報をお伝えします。