入院管理デバイスの使用感〜森のいぬねこ病院内海先生〜

こんにちは！PetVoiceブログ編集部です！
いつもは飼い主様のご自宅でのPetVoiceの活用方法についてご紹介をしていますが、本日は動物病院内におけるPetVoiceの活用状況をお知らせします。

実はPetVoiceは入院している犬猫の健康状態の管理でも活用されています。特に最近新たに機能リリースした「リアルタイム波形モニタリング」機能が獣医療現場からすごく喜ばれています。

実際に入院管理目的でPetVoiceをご活用いただいている大塚駅前どうぶつ病院の堀先生にインタビューをしました。

PetVoiceを用いた入院管理とは？

PetVoiceはTPR（推定直腸温、安静時心拍数、安静時呼吸数）をはじめ計15項目の健康データを計測できる首輪型のウェアラブルデバイスです。TPRについては特に高い計測精度を誇り、加えて最近「リアルタイム波形モニタリング」機能を追加したことから、日本全国の数十以上の動物病院で院内の入院犬猫の状態管理としても活用されています。

TPRの計測精度について

推定直腸温の計測精度

PetVoiceでは首周り温度から直腸温を高い精度で推定しています。37.5~39.3℃で誤差は±0.2℃、35.5~37.4℃で誤差±0.4℃を実現しています。この精度検証は第三者が入った研究で実証され、2024年9月に開催された日本獣医学会でもその精度の高さを報告しました。

推定直腸温の精度レポート

飼い主様のご自宅では特に抗がん剤治療における副作用管理にも活用されています。

安静時呼吸数の計測精度

9軸センサーによる微細な胸郭運動の検出により、安静時の呼吸数を正確に測定。平均誤差0.3回/分という非常に高い精度を有し、肺水腫入院症例の入院管理に加えて、飼い主自宅において心臓病の各ステージで広く活用されています。

安静時心拍数の計測精度

9軸センサーで頸動脈の脈拍を検出。心拍数検出テレメトリーと比較する精度検証を実施し相対誤差10%を実現。
安静時の経時変化が確認できます。

波形モニタリング機能について

PetVoice内蔵の9軸センサーのモーションセンサーの波形を表示し、見守りカメラでは判別できない体動の確認が可能です。

森のいぬねこ病院と内海先生のご紹介

森のいぬねこ病院グループは「小さな心配事でも気軽に相談できる”身近な動物病院”」をモットーに、2013年4月に仙台市に開院。一般診療から重症例の治療まで幅広く手掛け、複数名の獣医師で地域の飼い主様と愛犬愛猫の健康増進に積極的に取り組んでいます。

副院長 内海 博文 うつみ ひろふみ

• 麻布大学卒業
• どうぶつの総合病院 専門医療&救急センター（埼玉県川口市） 画像診断科 非常勤
• 日本獣医画像診断学会 会員

飼い主さまと、大切な家族であるワンちゃん・ネコちゃんみんなが幸せに暮らせるよう、少しでもそのお手伝いをさせていただけたらと思っています。

入院管理はどのように行なっておりどのような課題がありますか？

担当医が入院患者様の管理を行なっています。TPRの計測などは状態などによりますのでケースバイケースです。毎朝動物看護師が体重と体温測定は必ずしていますが、重症例の場合は担当医の指示でより高頻度にTPRの確認をします。

私の場合は、麻酔した症例では、麻酔中はもちろん体温はモニターしていますし、覚醒後に体温を測って、またその1〜2時間後に体温をチェックするようにしています。状態の良し悪しによらず麻酔をした子については状態管理に神経を使うようにしています。

自身で入院管理をする場合もありますが、他の患者様の診察も同時に行う必要がありますので、多くのケースでは動物看護師にお願いしています。看護師さんによっても状態の管理の仕方や体調の異変の気づき方にバラツキがあります。PetVoiceを使えば決まった項目を定期的に計測してくれるので管理を均一化できる点もメリットの1つに感じます。

PetVoiceの入院管理はどのような症例に使っていますか？

安静時呼吸数・心拍数、そして推定直腸温がリアルタイムで確認できるのは大きなメリットです。当院ではすべての入院症例でPetVoiceが適応になると考えています。中でも一般状態の悪い重症例では積極的に利用しています。一次病院ですとどうしても夜間の預りの際に人が常駐することができませんので、夜間の状態を心配される飼い主様にはPetVoiceを利用して管理することが安心材料に繋がるケースもあります。

重症例では、飼い主様の金銭的なご負担が問題ない場合、加えて病院スタッフも対応可能な場合は夜間看護を行うこともあります。しかし、それなりに費用をいただきますので、連日の夜間看護となると飼い主様の金銭的な負担だけでなく、スタッフの負担の観点でも尚更現実的ではなくなります。

夜間常駐看護ではない場合でも、例えば夜12時まで看護して安定していたらあとは自宅に帰るというケースもあります。その際には、この時間以降はPetVoiceをつけて状態をモニタリングをしますとお伝えすることもあります。

PetVoiceを活用した入院管理のメリット

当院では、状態が悪い患者様が入院される際には、入院室の前にiPadを置いてZoomを繋いで自宅からモニターを行うこともあります。しかし、状態が悪い子だとなかなか動かないので、Zoomの動画からだと体動がわからないことも多く、寝ているだけか心肺停止してしまっているのか、すぐに判断できないことがあります。

PetVoiceを使うことで状態が悪い子の体動を波形でリアルタイムに確認できるので、獣医師の気持ち的にはとても安心感を得られます。

最後に

PetVoiceは2022年の製品リリース当初から知っています。リリース当初は計測できなかった安静時呼吸数が2023年に計測できるようになり、2024年には心拍数が計測できるようになりさらに体温の精度も上がっています。当院では患者様にPetVoice利用を推奨し、ご自宅でPetVoiceを使って経過管理をお願いするケースも増えてきています。

獣医師としてあったらいいなと思う機能が次々に実装されていき、その進化に驚きを隠せません。これから更にPetVoiceが進化していくことを期待しています。